独語100 アカガシラカラスバトとノネコ

アカガシラカラスバト(成鳥はアカポッポ、幼鳥は黒ポッポ)は、小笠原諸島(Bonin Island)に生息する希少な固有種です。2001(平成13)年に約30羽程度となり、絶滅寸前であったと読売新聞が報じた。
NPO小笠原自然文化研究所(i-Bo=Institute  of Boninology アイボ)が実態調査し、その原因は、島民が飼っていた猫が野生化しノネコとなって、警戒心が希薄で地面を徘徊して餌を探すアカガシラカラスバトを捕食したからであるとされた。2005(平成17)年5月に、カツオドリを加えているネコが撮影され、カツオドリやオナガミズナギドリなどの海洋鳥の繁殖がなくなっているのもノネコが原因であると判明し、この他、オガサワラオオコウモリやハハジマメグロなどにも影響を与えていると考えられた。さらに、ハシブトゴイ、オガサワラマシコ、オガサワラカラスバト、マミジロクイナ、ムコジマメグロ、オガサワラガビチョウなどが絶滅したのもノネコの食害がもたらしたものと考えられた。
そのため、アカガシラカラスバトの保全活動を早急に行う必要があることから、環境省、林野庁、東京都、小笠原村、アイボ、東京都獣医師会などが、動植物の外来種問題対策と自然環境保全のために結集し「小笠原ネコに関する連絡会議(ネコ連)が、2006(平成18)年5月に結成された。捕獲したノネコを殺処分しないで、都内の動物病院に運び、馴化してから里親に譲渡する仕組みで、猫の命を守るノネコ引っ越し作戦が開始された。ノネコの捕獲、一時収容して管理する施設(ネコ待合所が2010年に開設)、島から都内に搬送する小笠原丸などの協力を得て継続的に行われています。国際的には、害獣となったノネコは殺処分されてしまうが、この活動は、非常に貴重な事例なので注目されています。
東京都獣医師会は、2008(平成20)年から「小笠原動物医療派遣団」を派遣し、島民が飼育するペットの診療とこの活動の支援と啓発を行いました。私もこの派遣団に加わり、観光を含めて13回小笠原に訪問しました。2017(平成29)年に、小笠原世界自然遺産センターが完成し、そこに動物対処室(動物病院)が併設されたので、派遣を終了しました。
2009(平成21)年に、オナガミズナギドリの繁殖が確認され、2014(平成26)年にはカツオドリのヒナが巣立ったのが認められて繁殖が復活しました。
2010(平成22)年、ユネスコの小笠原現地視察団の調査で、希少種の鳥類や固有種の貝類などを含め自然環境保全のためのノネコ対策が高い評価が得られたこともあって、2011(平成23)年6月に世界自然遺産として登録されました。
このアカガシラカラスバトの保全活動が開始されてから20年、30羽程度だったのが、現在1,000羽ほどに増えており、時たま街中でも見られると聞いて、大変嬉しく思っています。
捕獲されたノネコの数は、獣医師会のメーリングリストで、2月18日に1,285頭となっています。最近は、ノネコの捕獲が減っている感があり、トラップシャイがいて、全てを捕らえるが難しいのでエンドレス的に活動し続ける必要があります。奄美大島のハブ駆除が長年月かかって、昨年やっと終了したことを考えると、色々考えざるを得ません。
このほかに、東京11島中の御蔵島では、オナガミズナギドリの大繁殖島だが、ノネコの食害で、繁殖がものすごく減少(1/10以下)しており、時たまノネコが捕獲されているが、小笠原のような仕組みがないから、悩ましい問題となっております。

2026(令和8)年2月27日に掲示した