我国には、動物園法及び水族館法がない。過去、動物園法の制定に向けて活動されたが、失敗・挫折したと聞いている。その後は、諦めたのか法律制定に向けての活動はとん挫したまま。この問題に詳しい法律家教授に聞いたので所感を記します。
原状は、動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)に第1種動物取扱業の展示業となっており、飼育野生動物(特定動物)の確認、飼養施設とその環境、事業者(法人を含む)の適正審査(研修義務)が課せられている。つまり、猫カフェ、生理・生態・習性などを無視したフクロウカフェや野生動物カフェなどと同じ扱いとなっている。
動物園・水族館を取り巻く法律環境は、環境省所管の動愛法、種の保存法、外来生物法、自然公園法、農水省所管の鳥獣保護管理法、文科省所管の博物館法、文化財保護法、国交省所管の都市公園法、経産省・財務省所管の外為法、総務省所管の公立公園ならびに地方自治法などがあって主務官庁が決まっていない。過去の法律制定失敗は、これら省庁が絡み合っていたため、意見調整が困難だったことと、本気になって動く有力国会議員(団)がいなかったと推測される。
動物園・水族館法の審査基準は、主に生態系保全、種の保存、動物や魚類の生息環境教育、その他が求めらるが、動愛法は、動物福祉・愛護の視点から飼養環境や管理に重きが置かれているので、これらが一つにまとめられる必要がある。
私が所属する「動物との共生を考える連絡会」(動共連)は、「動物の保護及び管理に関する法律」が名称変更して「動愛法」になる以前から法律改正運動にかかわってます。動共連は、飼育下にある全ての動物、愛玩動物(ペット)のみならず、家畜などの農場(畜産)動物、動物実験に使われる実験動物、飼育されている野生動物などに対して5つの自由に基づく動物福祉に敵った飼養管理を求め続けいます。動愛法がペット法から脱却され除外規定を無くすべく努力しています。この過程で、動物園・水族館の法律が必要であることに気づき、法律制定の活動を行ってます。
野生動物は、陸生、水棲、哺乳類、水棲哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類他、種類、品種、生息環境、肉食、草食など、生理・生態・習性も異なりテンデンバラバラである。それ故、野生動物の飼育は、高度な専門知識と専門的飼養管理や飼育環境が必要であり、個人がその種に見合う適切な世話や飼養管理に無理が生ずるため、野生動物の飼育禁止を求めます。また、野生動物がもたらす可能性が高い未知の感染症のリスクがあることや、脱走や遺棄による在来固有種や生態系などへの影響も認められています。アライグマ、ヌートリア、キョン、台湾リス、アカゲザル、ブラックバス、グッピー、ミドリガメなどが知られている。
よって、動物園・水族館などの展示施設は、飼養野生動物や魚類などに動物福祉に敵った飼養管理の他、高度な専門知識や専門性を兼ね備え、生態系保全や在来固有種への影響、環境などを含めた教育ができなければならない。そのうえで、動物園・水族館の明確な定義づけも必要。明確で厳格な規制で、その規制に対応できない施設や紛らわしい動物園や展示施設などは動物園を名乗ることができなくすることが大切です。早期に法律制定を求めたい。