独語75 多度大社の上げ馬神事3

多度大社の上げ馬神事について、多くの国民が「動物との共生を考える連絡会」(連絡会)のホームページと私のブログ(独語)の記事を読んでくださって、上げ馬神事の実態を知ったこと、また海外のメディアを含め多くの報道機関から取材を受けて説明した結果、動画を含めて批判記事を報じてくれました。それ故、多度大社と三重県に、批判・非難、罵倒の他、神事の廃止・中止を求める声が、浴びせられました。そのため、多度大社は、上げ馬神事を改めると表明し、「多度大社の上げ馬神事の在り方検討会」を開催し、外部委員の意見を聞く場を設けました。連絡会代表の私も、外部委員として、この検討会に参加しました。
この検討会は、2023(令和5)年10月16日、11月14日、12月20日の3回開催され、外部委員9名の他に、多度大社、各御厨、三重県、三重県教育委員会、桑名市などの関係者が集って協議しました。上げ馬神事の実態とその問題点の確認と整理、上げ坂と高すぎる垂直壁、祭馬の導入とその取扱い、人馬のトレーニング、財政的な問題、坂に数段のバンケットを設えるなど、様々な意見が出ました。私は、上げ坂の上の高すぎる垂直壁が最大の問題点で、それに馬を挑ませること事態が、虐待に相当すると指摘したうえで、連絡会の「5つの自由に基づく動物福祉の評価表」「動物(馬)の虐待について」の資料、そして、将来の上げ馬神事に向けての検討事項と提案を私文にまとめて配布しました。さらに、現状のネット環境は、上げ馬神事の中止・廃止が圧倒的で、存続や擁護は殆ど見られないと指摘しました。
神社側から、坂の傾斜を緩くし、壁を1m程度に低くし傾斜づけて行いたいとの意見が出されたが、外部委員の総意は、「上げ坂の傾斜を緩くし、壁をなくすこと」であると一致し表明しました。この意見を、神社側が受け入れるか否かは、この時点では不明でしたが、後日、三重県から、「多度大社と御厨は、壁をなくして実施する」と連絡がありました。

なお、猪名部神社は、今年の上げ馬神事は行わないと決定し、それ以降は状況を見極めてから判断するとしています。

◎ 2010(平成22)年、馬虐待行為者を動画撮影して桑名署に告発し、受理されたが、検察庁が嫌疑不十分で不起訴にしました。そのため、裁判所の判断を仰ぐことが出来ませんでした。この動画を見た子供たちの大半は、「馬が可哀そう」と言うのに、大人の検察菅は、このような判断ができず、くだらない理由で罪に問えないとしました。その結果、馬を虐待しても罪に問われないと判断され、虐待がエスカレートしたと思います。
◎ 2016(平成28)年、上げ馬神事の実行組織(多度大社と御厨)を桑名署に告発したが、「動物愛護管理法」の虐待罪は、刑事罰なので個人が対象で、団体や組織は対象外とのことで、告発状は受理されなかった。「酷使」が虐待であるとされており、坂上の高すぎる壁に、馬をけしかけ挑ませるのは少年騎手です。少年騎手が告発の対象者となるので、連絡会は告発を避けてきました。

「動物愛護管理法」は、国会議員全員が賛成(全会一致)して成立した法律で、国民の多くが認めていると判断できます。しかし、検察庁は、このことを全く考慮せず、馬の虐待を不問にしました。このことが、上げ馬神事の改善に大きな阻害因子となったことは明白であり、検察庁も批判の対象にすべきと考えます。

私は、今までの上げ馬神事は、我が国にとって最大の恥ずかしい馬虐待神事であると認識しているので、これ以降の上げ馬神事が、馬の虐待を完全に排除し、和装束、和馬具(和鞍、和鐙など)の和式馬術にこだわり、神聖で優雅に格好よく、人馬の安全・安心な祭りにし、誇りある無形民俗文化財として、未来永劫、継続して実行されるよう期待し、望みます。イギリスの騎馬行列のように、馬にやさしい祭りにしてもらいたい。