独語71 黒部峡谷リベンジ失敗:2023

黒部ダム黒部峡谷下の廊下(日電歩道)阿曽原温泉小屋(宿泊)~水平歩道欅平までの約30㎞を完全踏破を目指して、10月4日に出発した。当日は、黒部ダムから徒歩で30分ほどにある「ロッジくろよん}に宿泊。紅葉シーズンだが、天候不良のせいで、宿泊者はたった5人。
5日 他の人はすでに出発しており、私は6時30分と出遅れた。小雨だったが、雨具を着用せずに出発。1,470mの黒部ダムから1,280mのダム下まで一気に下り、下の廊下を歩き始めた。雨が激しくなったので、雨具上下を着た(後の祭りで、すでにビショ濡れ)靴とバッグにもカバーをかけた。歩道は、大小石がゴロゴロ、尖った岩、滑りやすい、岩壁を雨が伝わってシャワーや滝の状態が降り注ぎ滝行の如く、危険個所のワイヤーを頼りに歩く、時々岩に頭をぶつける、慎重に歩いたが滑って転んで打撲し、問題の場所に差し掛かった。
この場所は、黒部別山谷の沢で、急激な大増水で激流化したもので。ロープが2本あるのみであった。若く元気な女性が、木の棒を頼りに渡渉を試みようとしたので、流されることが確実と思ったのと、流されるのを見るは嫌だから止めさせた。こちら側に3人、反対側に一人がいたが、それぞれ引き返すことになった。この時、11時20分で、行程の2/5程度と思われ、注目の白竜居、十字峡、S字峡など見ることが出来ないことに、全員がっくり
引き返す途中でドイツ人を含め3人に出会い、状況を説明し、全員引き返す。来る時には容易に渡れた沢が増水して危険になっていたが、何とか渡れた。滝行もさらに激しくなり、バックカバーの下に水が溜まり、異様な感触と重くなった。喘ぎあえぎダム下に戻ったのは15時35分、ダム上までの最後の登りはきつかったが4時過ぎに到着。
レストランで熱いコーヒーを飲もうと思ったが閉店。携帯が通じるので、すべての予定を変更せざるを得ないので各所に連絡した。ロッジくろよんに宿泊予約して向かうことにした。到着した時には、頭から足先までびしょ濡れで、寒さでガタガタ震えながら雨具を脱ぎ、早々に風呂に入らせてもらって温まり生き返った。部屋に入ってから、阿曽原温泉小屋に事情を話して宿泊キャンセル。この際、係の人が、私が安全な場所にいるかを問うてくれた。
この日の宿泊客は、熊本から15時間かけて来た人と二人だけで、明日は下の廊下に行く予定とのこと。状況を説明し中止を進めたが、折角来たので行ける所まで行くと言う。
夜の10時50分、今朝ロッジくろよんを出発した二人が戻ってきた。朝6時に出発し、下の廊下の途中から千人谷方面に向かったが、途中で通行不可の場所があって戻らざる得なくなった。ダム下に戻ってきたときにロッジくろよんに連絡でき泊ることになった。約15時間歩き、疲労困憊、低体温症気味だったが、風呂に入って生き返ったと言う。これで、懲りたかと聞いたが、懲りないと言う。猛者か
6日 ロッジくろよんを7時45分に出発し、黒部ダム駅から電気バスでお扇沢、バスで信濃大町、JRで帰り、14時ごろ帰宅。打撲痛と筋肉痛がひどく、ただひたすTVの番人
昨年は、下の廊下が崩れて通行止めだったので、欅平から水平歩道を歩いて阿曽原温泉小屋(約12㎞)往復を降雨の中行ったが、今年は、さらに激しい降雨の中、下の廊下の途中で引き返すことになった。喘ぎあえぎ生息吐息、無理を重ねて悪戦苦闘しただけで、すごい体験をしてしまった。もう行きたくないと思っているが・・・
ちなみに、欅平からトロッコ電車(黒部峡谷鉄道)~宇奈月~立山~立山黒部アルペンルート~黒部ダム~扇沢~信濃大町からIRで帰る予定だった。