多度大社上げ馬神事
2023年5月4,5日に神事が再開し、左前肢を骨折した馬が安楽殺されたことが切っ掛けで、非難囂囂。当日の暴力行為や過去の動画等がネット上に掲示され、上げ馬神事の実態が知られることになった。だが、誰も罪に問われない。事故原因の究明なく、暗黙の下で許容されている。
実態視察中止の理由
2003年から2018年までの15年間、毎年視察していたが、218年の多度で、TTP(つづけよう、たどまつり、プロジェクト)の創刊号を見つけた。表紙に多度祭りのMIKATA、未来永劫続く祭りのあり方を探求し、共感できる環境、仲間を増やし、歴史ある多度祭りを正しく伝承します。さらに、①安心で安全な取組み、②継承者育成への取組み、③積極的な祭事歴史解釈への取組み、④祭りファンを増やす取組み、が書かれていた。私は、2002年に上げ馬神事を知り、馬への過激な虐待のひどさに、批判や改善を求めていたが、このTTPを見て、いったん調査を中止することにしたが、コロナで開催できなかった。
告訴・告発
動物との共生を考える連絡会と私は、改善を求めてきたが、馬虐待のエスカレートや大事故が起こったために、2010年に虐待実行者を動画記録して桑名署に告発し、受理され送検された。が、検察庁は、嫌疑不十分で8名全員を不起訴とした。その理由は、①他の個人や団体がら馬虐待だととの指摘がない。②虐待の定義が不明確である。という。その後、虐待行為が減ったが、次第に増加傾向を示したので、2016年に上げ馬神事主催者(組織)を告発したが、告発状を受理できないとして返却された。その見解は、①刑事事件となるので、組織や団体は対象でない。②上げ馬神事が、馬の虐待に当たるか否かを、国及び三重県に尋ねたが、判断できないと回答された。③虐待した個人と、その行為の特定が必要。④証拠写真や動画で、個人が特定された場合、乗り子も対象になる可能性がある。とのことで、裁判所の判断を仰ぐことが出来なかった。
諸悪の根源
多度大社の大きな問題は、坂上に設えてある高すぎる垂直な壁(諸悪の根源1)にあることを繰り返し指摘したが、多度大社と御厨は無視(諸悪の根源Ⅱ)、馬が、骨折などの故障が発生し、安楽殺しても、事故だからやむなしと原因追及なく不問にし、三重県も県教育委員会も、これを容認し、改善指導すらしない(諸悪の根源Ⅲ)、三重県、三重県警も見て見ぬ振りして看過し、動物愛護管理法を無視する(諸悪の根源Ⅳ)。よって、多度大社の上げ馬虐待神事と崇められ、三重県における大イベントとして、今後も継続することになる。
国内・国際馬術指針と上げ馬神事
馬術競技では、固定した障害の高さは1.2m以下に制限され、騎手と競技馬双方は、長期間にわたって練習を重ね習熟した人馬が競技に挑むことが出来る。
上げ馬神事では、選ばれた少年がたった一か月程度の乗馬の稽古のみで、習熟度の判定もなく、ぶっつけ本番で無理やり挑まざるを得ない。また、使用される馬も、高い垂直な壁を飛越する練習など全くなく(できるはずがないが)、当日無理やりぶっつけ本番で挑まされる(酷使される)。よって、落馬、坂で転倒、仰向けに転倒、壁に激突、壁上に腹ばいになるなどで、故障馬が発生し、怪我人が出るなどが起こる。降雨であれば滑りやすくなり危険性が高まる。人馬ともに危険にさらされているのが実態である。、
歴史的考察
昔の日本には、木曽馬、北海道和種(道産子)、野間馬、トカラ馬、対馬馬、御崎馬、宮古馬、與邦国馬の在来馬がいて、乗用の他、農耕や使役など生活の糧になり大切に飼養されていたが、いずれも小型である。文献を調べたら「上げ坂」の記述はあったが、上げ馬になったのは何時なのかは不明である。現在使われている大型のサラブレッドが日本に導入されたのは明治40年代と言われており、太平洋戦争後しばらくしてから上げ馬に使われるようになったと考えるのが妥当である。坂上の垂直で高い壁が、何時築かれたのか、多度大社は全く説明していない。
我々の願望
動物愛護管理法が改正され、虐待に直接的暴力の他に「酷使」が追加されたことから、馬に坂上の高すぎる垂直な壁に無理やり挑ませることは、まさに虐待となる。それ故、この壁をなくし、坂だけにすることを求めます。これによって、人馬ともに確実に安全で安心な神事となり、無形民俗文化財として相応しくなると思います。和式馬術の継承と青少年の健全育成に寄与できる新しい上げ馬神事になることを願っています。
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