中国は、習近平の指示の下で、覇権主義、戦狼外交、威嚇・恫喝など多くの国々に威圧的なふるまいが目立っている。中国の過去を紐解いてみると、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、チベット自治区を分捕って漢民族の思いのままにし、それぞれの民族に対して抑圧や迫害を加えている。1911年に漢民族(漢人)主体の中華人民共和国が成立し今日に至っている。
内モンゴル自治区
1945年、第二次世界大戦中に旧ソ連が参入したのを機に、モンゴル人民共和国(旧ソ連の衛星国だったが、1989年に民主化に伴いモンゴル国になった)として独立した。この時の混乱に乗じて中華人民共和国が内モンゴルを支配下に置き内モンゴル共和国を成立させた。1947年に自治区となり、ある程度の自治が認められたが、1966年の文化大革命以降自治権が剥奪され、内モンゴル住民への弾圧が始まり今日まで続いている。
新疆ウイグル自治区
漢民族によって新疆への攻撃があり、ウイグルは大混乱に陥り長いこと安定が損なわれていた。この混乱に乗じて、世界大戦後の1949年に中華人民共和国の支配下に置かれた。1955年に自治区となり、ある程度自治は認められていたが、1986年から徹底した言論統制が行われ自治は全く認められなくなった。アメリカの同時多発テロ以後、体制に対して異論反論するとテロリストにされて拷問されることになった。それだけでなく、ウイグル人民に対する監視抑圧が強化された。亡命や他国に逃れた抑圧の体験者は、拷問や弾圧が人権を無視し過酷な虐待だったと証言している。
チベット自治区
世界大戦前は、チベット国として存在していたが、1949年に国内で政治的混乱が発生した時に、中国軍が侵攻したために国内が大混乱に陥った。この混乱に乗じて1951年5月23日にラサを占領した時「平和解放の日」と定めたが、1959年に中国の支配に反発して動乱が起こったが鎮圧された。この際に、ダライラマは国外に脱出し、以後中国批判を繰り返している。チベット仏教に対する嫌がらせを含め、チベット人民への抑圧を強めている。
中国共産党一党独裁政権は、徹底的に民主主義を嫌って拒否し、その気配を感ずるだけで、直ちにその芽を摘もうとする。さらに、すべての宗教への圧力をかけ、特にウイグル人民のイスラム、チベット人民の仏教及び法輪功などが抑圧の対象となっている。
民主的で自由な香港に対しては、一国二制度を約束していたにも関わらず、計画的、意図的に法制度を変更させて、この約束を反故にした。このことに反対した雨傘運動の首謀者や活動家を逮捕し弾圧した。今では、体制批判すると直ちに逮捕され、自由に発言できない。
尖閣諸島周辺へ中国海警局の船舶が繰り返し侵入し、また南沙諸島をはじめとする海域に軍事拠点化を強引に進めている。台湾に対しては、意図的に多数の軍用機を侵入させ軍事的圧力を強化している。周辺諸国への圧力以外に、多くの国々に支援名目で融資した結果、債務過多に陥らせて返済困難が示唆され、いわゆる債務の罠を仕掛けているのではと報じられている。
軍事的大国となった中国が、周辺諸国に軍事的圧力をしつこく繰り返し行うことは、当該国がそれにイラついて対抗することを待っており、それを機会に待ってましたとばかりに当該国に侵攻する口実にして正当化する魂胆が見える。特に、日本と台湾への攻撃を正当化するために手ぐすねを引いて待っているのではと思っている。
台湾に対しては、中国の一部なので国内の問題だから内政干渉しないよう求めているが、私は、台湾が中国の一部でなく、自由と民主主義に基づく歴然とした国家であると認識している。中国は、台湾を一国二制度にすると言って懐柔しようとしているが、香港の例えから絶対に眉唾物であり信用できるわけがない。
ということで、隣の経済的、軍事的大国になった中国は、なんとも鬱陶しく、ややこしく、危険で嫌な国になったしまったと思っている。中国が、世界的な武力衝突の元凶にならないよう願うしかない。内モンゴル、ウイグル、チベットの三民族以外の中国国民(漢民族と他の少数民族)は、このような中国共産党一党独裁体制に満足しているのだろうか?