『ホウショウマサル』というばんえい競馬馬が死亡したと報じられた。ばんえい(輓曵)競馬を125戦して48勝し、31連勝したスーパーホースだとのこと。まだ10歳だった。ばんえい(輓曵)競馬は、我が国独自のもので、他の国では行っていないとのことで、極めて珍しい。重さ1トン近くの重量物を橇に載せ、コース途中の坂障害を越させる競争である。北海道の一部で行われているのみなので、レース観戦は容易ではないが、公営競馬となっている。このばんえい(輓曵)競馬に使われる馬は、馬体重1トン前後のズングリした体形の重種馬(大型種)で、ブルトン、ペルシュロンなど他にそれらの混血種である。この大型種を、各地の競馬場で見れたり、或いは、ばんえい(輓曵)競馬のデモンストレーションががあればいいなと思う。
過日、馬の調教と称して、馬の顔面を蹴り上げる動画が報じられ、激しく批判された。馬の顔面を蹴り上げることはもってのほかだが、腹部を蹴り上げる、鞭で殴打するなど行われている。鞭で殴打することは他の競馬で認められ、馬術の調教時にも認められているが、その鞭の使用のあり方が批判の的になっている。鞭の過度な使用や激しい殴打は、間違いなく虐待である。祭事や競馬などの使役時に、鞭で過度に殴打して馬を追い立てることは、馬を酷使したことになり、能力以上に求めることは絶対すべきでない。
競馬は、馬が持っている極限までの能力を発揮させるもので、馬の意思に基づくものではなく、騎手や関係者の意識の下で行われている。太古から、競馬は大衆の娯楽のために行われているが、レースホースの生き残る道となっている。特に、重種馬は、過去には、馬車で重量物運搬の荷役に大いに役立っていたが、今やトラック等に変わってしまい活躍できる場がない状態であり、ばんえい(輓曵)競馬以外に存続出来る状況にない。ということで、馬の福祉に配慮した取り組みがなければ、存続が危ぶまれる。よって、馬への暴力などの虐待した関係者を、この業界から排除すべきであり、当事者に対する温情は益にならないと思う。
動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)に「酷使」が暴力など同様に虐待であるとしているが、残念ながら、「酷使」に当たるか否かを判断することが難しいのが現状であり、実に悩ましいことである。。