科学者の中には、研究に動物を使用して実験を行って成果を上げ科学論文を発表している。この動物を使う動物実験には、国際原則が定められており、それに基づいて実験が行われることになっている。この国際原則は、3Rs(Replacement:動物を用いない代替法への置換、Reduction:使用動物数の削減、Refinement:動物に対する苦痛の軽減)であり、可能な限り動物福祉に配慮するものである。
国際的な科学論文の掲載紙は、研究発表論文を掲載するに当たり、その内容が研究に使用した実験動物に対して苦痛のなどの負担を強いて動物福祉に反していると示唆される場合は、掲載を拒否している。そのため殆どの国では、動物実験に関する法律があり、3Rsの具体的事項と実験動物の福祉に配慮した仕組みがあり、それに基づいて研究が行われている。
我が国では、動物愛護管理法に3Rsが明示されたが、その具体的な事項や行為などの記述がない。研究者や研究機関が、この3Rsを理解し実際に行っているかは不明であり、分かる仕組みはない。日本学術会議が、動物実験のガイドラインを提示し、動物実験を行う研究は、このガイドラインに従って行っているはずだが、その実態を知るすべはない。
我が国には、動物実験に関する法律がないので、動物愛護管理法及びその施行細則に、①実験動物施設の登録制、②動物実験の記録の保管と情報開示、③第三者による立ち入り調査の実施、④動物実験代替法の利用の義務化及び開発・普及、⑤実験動物の苦痛、長期的な害を最小限にすることの義務化、⑥専門職以外の生体解剖の禁止などを明記されることを願っている。中でも、動物実験代替法に関して、国の予算があまりにも少なく、諸外国に比べてかなり見劣りするので、予算の増額を望みたい。
動物実験法の制定を待ちたいが、研究者たちは現状を容認し、法制定のニーズがないのが気になる。法の下で、正々堂々と科学研究をしてもらいたい。
最近の科学研究の進捗に陰りがあるように感じているが、自民党による圧力(予算削減、人材登用拒否、構造改革など)は酷過ぎるので、将来の科学研究の発展に禍根となる心配がある。
この他に、教育実習に動物を使うことがあり、その取扱いや飼養、保管、管理等について動物福祉に反する問題が散見されるため注視する必要がる。